大学病院ー日本は赤字で、韓国は黒字の理由
日本と韓国の大学病院における経営状況(日本の多くの大学病院が構造的な赤字に苦しむ一方、韓国の大規模な大学病院は比較的潤沢な収益や黒字を維持してきた背景)には、医療制度の構造、患者の集中度、収益モデル、コスト構造などにおいていくつかの根本的な違いが存在する。
ポイント;自由診療+スケールメリット+効率重視の経営手法
1. 患者の集中構造と規模の経済(ビッグ5への患者集中)
韓国(大病院への一極集中): 韓国では、ソウル都心部にあるいわゆる「ビッグ5」(ソウル大学病院、牙山病院、サムスン医療院など)と呼ばれる超大型の大学病院に患者が強烈に集中する構造があります。日本のフリーアクセスとは異なり、患者が最初から高度医療機関を受診しやすい環境や、大病院志向が根強いこと、さらに病床数が数千床規模に達する超巨大病院運営を行っているため、スケールメリットを活かした高い回転率と莫大な外来・入院収入を確保しやすい仕組みになっている。
日本(機能分化と地域分散): 日本は「フリーアクセス」が保障されているものの、近年は地域医療構想や紹介状なし受診時の定額負担導入などにより、軽症者の大病院受診抑制が進んでいます。また、国立大学病院をはじめとする日本の大学病院は、韓国の超巨大病院ほどベッド数が突出して巨大ではないケースが多く、高度急性期に特化するなかでコストが膨らみやすい傾向がある。
2. 診療報酬制度と収益の多様性
韓国の収益構造: 韓国の医療保険制度の下では、自由診療(保険適用外の医療サービス、高額な検査、先進的な治療など)や、患者数が膨大であることによる検査・投薬の回転率が病院経営の大きな収益源となってきました。特にトップクラスの大学病院はブランド力が高いため、収益性の高い医療資源の配分や効率的な運用が行われてきました。
日本の診療報酬の縛りと硬直性: 日本は公定価格である「診療報酬」によってすべての医療サービスの価格が厳格に統制されています。近年の物価高騰や急激な円安に伴う医療材料費・医薬品価格、さらに歴史的なベースアップを含む人件費の高騰が直撃しているにもかかわらず、公定価格を自ら引き上げることができないため、収益がコスト増に追いつかず赤字幅が拡大する構造的な問題を抱えています。
3. 人件費・労務管理と運営コスト
韓国: 韓国の大学病院(特に私立・財閥系など)では、効率的な人員配置や成果主義、あるいは効率重視の経営手法が導入されてきた歴史があります。ただし、研修医のストライキや労使関係の問題など固有の経営リスクは抱えるものの、大規模な収益基盤を背景にしたキャッシュフローの回転が早い点が特徴である。
日本: 日本の大学病院は、医師、看護師、コメディカルなどの職員数が多く、人件費率が非常に高い水準にあります。さらに「働き方改革」の本格施行に伴い、時間外労働の規制強化やそれに伴う医師の確保・当直体制の維持コストが急増しており、これが経営を圧迫する大きな要因となっている。
日本の大学病院が「教育・研究・高度診療」という公共性の高い役割を担う一方で、公定価格の据え置きとコスト急増により「赤字が常態化」せざるを得ない制度的ジレンマにあるのに対し、韓国のトップ大学病院は「圧倒的な規模を活かした患者の囲い込みと高回転な収益モデル」によって経営基盤を維持してきた点が、両者の大きな違いを生む原因となっている。
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