日本におけるNP論議ーー医師の立場から

【2023.05.25配信】日本医師会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会の5団体は共同で、規制改革推進会議医療・介護・感染症対策ワーキンググループにおけるナースプラクティショナー(NP)の議論について意見書をまとめ公表した。現在のNPに関する主張は、主に在宅医療において訪問看護師と医師との連絡がうまくいかずに患者への対応が遅れるケースがあるとの指摘のもとで行われているとし、「連携体制を強化することが第一に行われるべきこと」などとしている。公表された意見書は以下の通り。

■規制改革推進会議医療・介護・感染症対策ワーキンググループにおけるナースプラクティショナー(NP)の議論について

日本医師会 
日本病院会 
全日本病院協会 
日本医療法人協会 
日本精神科病院協会

令和5年5月24日

 現在、規制改革推進会議医療・介護・感染症対策ワーキンググループにおいて、在宅医療における課題を解決するものとして新たな資格(ナースプラクティショナー、以下NP)の創設を求める意見が出されています。 
 我々は、国民の健康・生命を守る立場から、以下の通り考えます。

1.在宅医療における課題への対応 
 現在のNPに関する主張は、主に、在宅医療において、訪問看護師と医師との連絡がうまくいかず、患者さんへの対応が遅れるケースがあるとの指摘のもとで行われています。しかし、そうした医療機関の外での事態については、医療機関及び訪問看護ステーションがともに連絡体制について今一度確認し、連携体制を強化することが第一に行われるべきことです。緊密な連絡体制の構築は、在宅医療の実施にあたって当然なされなければならないものであり、その点を改善しないまま、新たな資格により看護師が診断・処方をすれば解決するということはあり得ません。 

また、医療の安全の確保、医療事故に対する責任の所在、新たな職種が実際の不足場面で役割を担えるかなど根本的な議論が不可欠であり、十分な議論なしに判断が下されるのであれば、日本の将来の医療提供体制にとって、悪影響を及ぼすことが懸念されます。 
 他方、地域の在宅医療を面で支える体制を早急に構築することが大切となります。訪問看護師が抱える困難や、医師や医療機関に対する要望にもきちんと耳を傾け、改善すべきところは改善していく所存です。

2.特定行為研修の推進 
 日本医師会が、在宅医療を行っている医師を対象に行ったヒアリングでは、訪問看護師との連携がうまく取れている場合には、必ずしも特定行為研修の必要性を感じないという声もありました。ただ、特定行為研修を修了した看護師であれば、褥瘡の処置や気管カニューレの交換など、患者が通院したり医師が訪問せずに行うことができたりするなどのメリットもあることから、今後、在宅医療分野における特定行為研修を推進していくことは必要と考えます。 
 そのためには、医師側も特定行為研修制度をしっかり理解し、手順書の作成や実習の受け入れなど、積極的に活用・支援していくことが求められます。 
 引き続き、制度の周知に努めるとともに、研修の推進に協力してまいります。

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