2022年、韓国の出生率は0.78は 0.9か?
1――韓国の出生率が7年連続過去最低を更新
2015年以降出生率が低下し続けている理由としては、2015年以降に出産をした女性の多くが1980年代中盤以降に産まれた女性が多いことや、韓国の経済成長率が2012年以降大きく低下したことが挙げられる。つまり、韓国政府が実施してきた産児制限政策が1980年代からそれまでの「二人を産んでよく育てよう」から「一人だけ産んでよく育てよう」に代わり、産まれる子どもの数が減り始めたことが2015年以降の出生率低下に影響を与えたと考えられる。
また、2000年代に平均5%であった経済成長率が2012年に2%台に低下してから回復されず、それ以降も2%前後という今まで韓国経済が経験していなかった低成長が続いたことも若者の失業率や非正規労働者の割合を引き上げたことにもつながり、出生率にマイナスの影響を与えただろう。韓国の国会立法調査処は、2014年8月に2013年の出生率が1.19のままで少子化が改善されない場合、「韓国は2750年には消滅する」という推計結果を発表した。しかし、状況はより深刻になった。このままだと韓国が地球上から消滅する日はより早まるだろう。
さらに、韓国国内においてもソウルの出生率は0.59で前年の0.63を下回り、全国で最も低かった。特に、ソウルの中でも冠岳区(クァナクく、0.42)、広津区(クァンジンく、0.46)、鍾路区(チョンノく、0.47)、江南区(カンナムく、0.49)の出生率は0.5を下回った。韓国の2022年の出生児数は24万9,000人となり、2012年の48万5,000人と比べて約半分にまで減少している。一方、2022年の死亡者数は37万2,800人で前年の31万7,700人より17.4%増加した。出生数と死亡数の差である人口の自然減は、12万3,800人(2020年3万3,000人、2021年5万7,300人)となり、3年連続の人口減少となった。
また、2000年代に平均5%であった経済成長率が2012年に2%台に低下してから回復されず、それ以降も2%前後という今まで韓国経済が経験していなかった低成長が続いたことも若者の失業率や非正規労働者の割合を引き上げたことにもつながり、出生率にマイナスの影響を与えただろう。韓国の国会立法調査処は、2014年8月に2013年の出生率が1.19のままで少子化が改善されない場合、「韓国は2750年には消滅する」という推計結果を発表した。しかし、状況はより深刻になった。このままだと韓国が地球上から消滅する日はより早まるだろう。
さらに、韓国国内においてもソウルの出生率は0.59で前年の0.63を下回り、全国で最も低かった。特に、ソウルの中でも冠岳区(クァナクく、0.42)、広津区(クァンジンく、0.46)、鍾路区(チョンノく、0.47)、江南区(カンナムく、0.49)の出生率は0.5を下回った。韓国の2022年の出生児数は24万9,000人となり、2012年の48万5,000人と比べて約半分にまで減少している。一方、2022年の死亡者数は37万2,800人で前年の31万7,700人より17.4%増加した。出生数と死亡数の差である人口の自然減は、12万3,800人(2020年3万3,000人、2021年5万7,300人)となり、3年連続の人口減少となった。
2――韓国における少子化の原因
2――韓国における少子化の原因
なぜ韓国では少子化がここまで深刻になってしまったのだろうか。韓国における少子化の主な原因としては、若者がおかれている経済的状況が良くないこと、若者の結婚及び出産に関する意識が変化したこと、育児政策が子育て世代に偏っていること、男女差別がまだ残存していること、子育ての経済的負担感が重いこと等が考えられる。
(1)若者がおかれている経済的状況が良くない
韓国ではまだ儒教的な考えが根強く残っており、結婚してから出産するケースが多い。しかしながら、多くの若者は安定的な仕事を得ておらず、結婚という「贅沢」を選択できない立場に置かれている。韓国における 20~29歳の若者の失業率は 2020 年の 9.0%から 2022 年には6.4%に改善した。しかし、これは新型コロナウイルスのパンデミックによる落ち込みからの反動増の側面が強く、政府の財政支出が雇用を押し上げていること、人口構造的に若者人口が減少していること等が失業率改善の主な理由である。
しかしながら、2022 年の若者の失業率は全体失業率2.9%より 2.2倍以上も高く、同時点の日本の 20~24 歳と 25~29 歳の失業率である 4.8%と 3.8%を大きく上回っている。さらに、15~29歳の若者の「拡張失業率」は2022年時点で19.0%(15~29歳の失業率は6.4%)に達している(図表2)。「拡張失業率」とは、国が発表する失業者に、潜在失業者(就労を希望しつつも、様々な事情から求職活動をしていないので失業者としてカウントされない失業者)や不完全就業者(週18時間未満働いている者)を加えて失業率を再計算したものである。
(1)若者がおかれている経済的状況が良くない
韓国ではまだ儒教的な考えが根強く残っており、結婚してから出産するケースが多い。しかしながら、多くの若者は安定的な仕事を得ておらず、結婚という「贅沢」を選択できない立場に置かれている。韓国における 20~29歳の若者の失業率は 2020 年の 9.0%から 2022 年には6.4%に改善した。しかし、これは新型コロナウイルスのパンデミックによる落ち込みからの反動増の側面が強く、政府の財政支出が雇用を押し上げていること、人口構造的に若者人口が減少していること等が失業率改善の主な理由である。
しかしながら、2022 年の若者の失業率は全体失業率2.9%より 2.2倍以上も高く、同時点の日本の 20~24 歳と 25~29 歳の失業率である 4.8%と 3.8%を大きく上回っている。さらに、15~29歳の若者の「拡張失業率」は2022年時点で19.0%(15~29歳の失業率は6.4%)に達している(図表2)。「拡張失業率」とは、国が発表する失業者に、潜在失業者(就労を希望しつつも、様々な事情から求職活動をしていないので失業者としてカウントされない失業者)や不完全就業者(週18時間未満働いている者)を加えて失業率を再計算したものである。
韓国で若者の失業率が高い理由としては、大学進学者が多く卒業後の就職における需要と供給のミスマッチが発生していることに加え、サムスン電子、現代自動車などの大企業(一次労働市場)と中小企業(二次労働市場)の間の賃金格差が大きい等、労働市場の二極化が進んでいること等が挙げられる1。そこで、多くの若者は就職浪人をしてまで大企業に入ろうとするが、採用されるのは一部の人に過ぎない。
一次労働市場に入れなかった若者の多くは「公務員」になるために公務員試験の準備をしている(志願者の平均年齢は29.4歳で、全志願者に占める20代の割合は60.9%)。しかしながら、公務員になることは簡単ではない。志願倍率は年々下がっているものの、2022年には5,672人を採用する9級国家公務員採用試験に165,524人が志願し、志願倍率は34.3倍2に達した。
また、高い不動産価格も未婚化・晩婚化の一因になっている。韓国では結婚前に男性側が家を用意する慣習があるものの、近年の不動産価格の高騰は男性にとって結婚のハードルを高め、婚姻件数の減少にもつながっている。最近は、韓国銀行(中央銀行)の急速な利上げに伴う金利の上昇等で全国のマンション価格は下落しているものの、住宅ローンの金利は上がっており、若者にとってマイホームの夢は実現が難しいままである。
1 韓国における労働市場は、一次労働市場と二次労働市場に区分することができる。一次労働市場は、相対的に高い賃金、良い労働環境、高い雇用の安定性、労働組合による保護、制度化された労使関係、長期的な雇用契約、内部労働市場による労働力の補充などが特徴づけられることに比べて、第二次労働市場は、相対的に低い賃金、劣悪な労働環境、不安定な雇用、制度化されていない労使関係、外部労働市場による労働力の補充などが特徴づけられる。
2 筆記試験を受けた人に対する倍率は29.2倍
一次労働市場に入れなかった若者の多くは「公務員」になるために公務員試験の準備をしている(志願者の平均年齢は29.4歳で、全志願者に占める20代の割合は60.9%)。しかしながら、公務員になることは簡単ではない。志願倍率は年々下がっているものの、2022年には5,672人を採用する9級国家公務員採用試験に165,524人が志願し、志願倍率は34.3倍2に達した。
また、高い不動産価格も未婚化・晩婚化の一因になっている。韓国では結婚前に男性側が家を用意する慣習があるものの、近年の不動産価格の高騰は男性にとって結婚のハードルを高め、婚姻件数の減少にもつながっている。最近は、韓国銀行(中央銀行)の急速な利上げに伴う金利の上昇等で全国のマンション価格は下落しているものの、住宅ローンの金利は上がっており、若者にとってマイホームの夢は実現が難しいままである。
1 韓国における労働市場は、一次労働市場と二次労働市場に区分することができる。一次労働市場は、相対的に高い賃金、良い労働環境、高い雇用の安定性、労働組合による保護、制度化された労使関係、長期的な雇用契約、内部労働市場による労働力の補充などが特徴づけられることに比べて、第二次労働市場は、相対的に低い賃金、劣悪な労働環境、不安定な雇用、制度化されていない労使関係、外部労働市場による労働力の補充などが特徴づけられる。
2 筆記試験を受けた人に対する倍率は29.2倍
(2)若者の結婚及び出産に関する意識が変化
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典拠ーー2019年8月16日 07:00NEWSポストセブン
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韓国の出生率が急降下 今年は0.9を下回る最低値を更新か
2019年8月16日 07:00NEWSポストセブン
韓国で出生率の急激な下落が止まらない。韓国紙・朝鮮日報(2019年7月31日付)の報道によると、韓国の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に何人の子を産むかを表す指標)は、2016年に1.17だったのが、2017年に1.05、2018年には1.0を初めて割り込んで0.98に下がったが、漢陽大学のイ・サムシク教授が今年の1月から5月までの新生児数から推計したところ、今年は0.89にまで下がると予測したという。
この数字がただ事でないことは、他国の出生率と比較すればわかる。少子化が進む日本では、2018年の出生数は91万8397人で過去最低を更新したが、それでも合計特殊出生率は2017年から001ポイントマイナスの1.42である。アメリカは1.80(2016年)、中国は1.62(2016年)、危機的な水準といわれている台湾でも1.13(2017年)である。
韓国統計庁は2018年までの急激な出生率低下を受けて、人口予測の見直しを実施し、出生率と寿命をもっとも低く見積もった場合、総人口は今年の5165万人がピークで、来年から減少に転じ、2034年には5000万人を割り込むとの推計を発表している。他国のことを言えた義理ではないが、労働人口と経済は密接な関係があり、このまま出生率が低空飛行を続ければ、よほど積極的に移民を受け入れたりしない限り、数十年後に韓国経済が著しく衰退していくのは確実と言える。
しかし、なぜ韓国ではここまで出生率が下がっているのか。『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)などの著書がある韓国人作家の崔碩栄氏はこう分析する。
「韓国では正社員になれずに非正規雇用で働く若者が増え、経済も失造靴弔弔△襦・海Δ靴新从囘、瞥・海・愀覆砲△襪里牢岼磴い△蠅泙擦鵝・修譴鵬辰┐董・攅馥値④諒顕修・⊇仍困料按鵑箸覆觴禺圓侶觝Г鮗挧發靴討い襪箸いμ未發△蠅泙后・・首鞜迸赱鈑就杜㏄哂昭碣暑uコ碣暑uコ・鞜郛 韓国紙・中央日報の記事(2018年12月4日付)によると、韓国の結婚費用は男性で平均1億4000万~1億5000万ウォン(1300万円前後)、女性で平均6000万~7000万ウォン(600万円前後)が必要とされています。韓国人は儒教の影響で体面を気にするので、結婚式には100~200人を招待するのが普通ですし、女性は『結婚するなら賃貸はダメ、持ち家じゃないと』などとこだわるので、とにかく結婚にはお金がかかる。一流企業の正社員でもない限り、20代でこんな金額を貯金できる人はまずいないので、親から援助してもらうのですが、親が裕福でないとそれも無理です」
日本でも非正規雇用のまま給料が増えず、経済的理由から家族を養えないため結婚もできない、という男性が増えているが、韓国のほうが、より結婚のハードルは高いという。韓国人男性が結婚を躊躇する理由は他にもある。
「韓国の女性は結婚したら仕事をやめて専業主婦になりたがる人が多いので、親の援助で『結婚』を乗り切っても、結局は稼ぎがないと続かない。また、女性が優位にあるため、専業主婦の奥さんが家事の多くを男性に担わせようとするケースも少なくありません。だから、結婚なんてせずに一人の生活を楽しみたい、という男性が増えているのです」(崔氏)
日本の場合、出生率は2005年の1.26を底として、15年近くたった今でも1.4あまりにとどまっている。出生率の上昇は一朝一夕でできるものではないのだ。韓国の「0.9」からの回復は簡単ではないだろう。
この数字がただ事でないことは、他国の出生率と比較すればわかる。少子化が進む日本では、2018年の出生数は91万8397人で過去最低を更新したが、それでも合計特殊出生率は2017年から001ポイントマイナスの1.42である。アメリカは1.80(2016年)、中国は1.62(2016年)、危機的な水準といわれている台湾でも1.13(2017年)である。
韓国統計庁は2018年までの急激な出生率低下を受けて、人口予測の見直しを実施し、出生率と寿命をもっとも低く見積もった場合、総人口は今年の5165万人がピークで、来年から減少に転じ、2034年には5000万人を割り込むとの推計を発表している。他国のことを言えた義理ではないが、労働人口と経済は密接な関係があり、このまま出生率が低空飛行を続ければ、よほど積極的に移民を受け入れたりしない限り、数十年後に韓国経済が著しく衰退していくのは確実と言える。
しかし、なぜ韓国ではここまで出生率が下がっているのか。『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)などの著書がある韓国人作家の崔碩栄氏はこう分析する。
「韓国では正社員になれずに非正規雇用で働く若者が増え、経済も失造靴弔弔△襦・海Δ靴新从囘、瞥・海・愀覆砲△襪里牢岼磴い△蠅泙擦鵝・修譴鵬辰┐董・攅馥値④諒顕修・⊇仍困料按鵑箸覆觴禺圓侶觝Г鮗挧發靴討い襪箸いμ未發△蠅泙后・・首鞜迸赱鈑就杜㏄哂昭碣暑uコ碣暑uコ・鞜郛 韓国紙・中央日報の記事(2018年12月4日付)によると、韓国の結婚費用は男性で平均1億4000万~1億5000万ウォン(1300万円前後)、女性で平均6000万~7000万ウォン(600万円前後)が必要とされています。韓国人は儒教の影響で体面を気にするので、結婚式には100~200人を招待するのが普通ですし、女性は『結婚するなら賃貸はダメ、持ち家じゃないと』などとこだわるので、とにかく結婚にはお金がかかる。一流企業の正社員でもない限り、20代でこんな金額を貯金できる人はまずいないので、親から援助してもらうのですが、親が裕福でないとそれも無理です」
日本でも非正規雇用のまま給料が増えず、経済的理由から家族を養えないため結婚もできない、という男性が増えているが、韓国のほうが、より結婚のハードルは高いという。韓国人男性が結婚を躊躇する理由は他にもある。
「韓国の女性は結婚したら仕事をやめて専業主婦になりたがる人が多いので、親の援助で『結婚』を乗り切っても、結局は稼ぎがないと続かない。また、女性が優位にあるため、専業主婦の奥さんが家事の多くを男性に担わせようとするケースも少なくありません。だから、結婚なんてせずに一人の生活を楽しみたい、という男性が増えているのです」(崔氏)
日本の場合、出生率は2005年の1.26を底として、15年近くたった今でも1.4あまりにとどまっている。出生率の上昇は一朝一夕でできるものではないのだ。韓国の「0.9」からの回復は簡単ではないだろう。
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